上原沙也加「前の浜」

上原沙也加 「前の浜」, 2025, Archival pigment print, Image size 50 x 70 cm, Sheet size 59.4 x 84.1 cm
「渡嘉志久ビーチには、真っ赤なコカ・コーラのパラソルが立っていた。」

上原沙也加
「前の浜」

会期:2026年1月31日(土)– 2月28日(土)
オープニングレセプション:2026年1月31日(土)17:00-19:00
開廊時間:火−土(日月祝休)12:00-19:00

Press Release

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MISA SHIN GALLERYでは、2026年1月31日(土)から2月28日(土)まで、上原沙也加の個展「前の浜」を開催します。本展は、2026年1月24日(土)より横浜市民ギャラリーあざみ野で開催される、上原にとって公的な美術機関での初の個展「たとえすべての瓦礫が跡形もなくきれいに片付けられたとしても」と連動して発表される新作シリーズです。

「前の浜」は、沖縄の「慰霊の日」である6月23日を含む数日間、上原が複数の海辺を巡った短い旅を記録した白黒写真作品です。

上原は、沖縄戦「終結の地」とされる沖縄島南部糸満市・平和祈念公園で式典が行われるこの日に、米軍が初めて上陸し沖縄戦の「はじまりの場所」とされる浜辺へと向かう逆行の旅をします。それは、沖縄戦という深い傷を過去の出来事として捉えるだけではなく、現在に至るまでどのようにかたちを変えながら影響を及ぼし、問題が続いているのか視覚的に問いかける行為でもあります。

作品は作家の自室の朝の光景から始まり、那覇港を経てフェリーで沖縄島西側に点在する慶良間諸島の渡嘉敷島へと向かいます。島内では集落やビーチを歩きながら、「アリラン慰霊のモニュメント」や、「集団自決跡地」、「伊江村民収容地記念碑」などのモニュメントを手がかりに戦跡を辿り、翌日の6月23日に、阿嘉島のメーヌ浜(前の浜)へと至ります。浜辺では、薩摩からの移入種である慶良間鹿が集落を悠然と歩き、歴史と現在が静かに交錯します。

上原沙也加 「前の浜」, 2025, Archival pigment print, Image size 34 x 51 cm, Sheet size 42 x 59.4 cm
「猫はいつも窓の外ばかり眺めている。」

沖縄島へ戻った後、作家は広大な米軍基地を横目に、軍港移設予定地である浦添市西海岸を見おろすショッピングモールへと向かいます。日没を見届け、夜の街の光を撮影しながら国道58号線を南下し、自衛隊駐屯地のそばを通って帰路につき、再び自室へと戻ってきます。

タイトルに含まれる「前の浜」の「前」という言葉は、空間的な位置関係にとどまらず、写真というメディアが本質的に備える過去の存在を証明する装置としての時間性をも示唆しています。

数日間の旅の中で撮影された写真群は、残酷さの痕跡や不安定な兆候を丁寧に掬い上げながら、過去と現在、私的空間と島々の風景、生者と死者といった境界を波のように往還する営みとして結実しています。

本作は200点の写真とキャプションで構成されています。横浜市民ギャラリーあざみ野では、代表作とともにスライドショー形式で展示し、作家の実践を通時的に紹介します。一方、MISA SHIN GALLERYでは、作家自身が選んだプリント作品を展示し、一点一点の写真と向き合うための空間を創出します。同一シリーズを異なる形式で提示することで、二つの会場は多層的な解釈を可能にします。

1月31日(土)には、作家を迎えてオープニングレセプションを開催いたします。皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。

上原沙也加 「前の浜」, 2025, Archival pigment print, Image size 34 x 51 cm, Sheet size 42 x 59.4 cm
「帰りの船から、連なる島々の影を見た。」

上原沙也加
1993年沖縄県生まれ、同地在住。風景のなかに立ち現れる記憶や傷跡、場所や物が保持している時間の層を捉える実践として、 写真作品を制作している。2020年に「The Others」シリーズで第36回写真の町東川賞新人作家賞受賞。「VOCA展2024」で奨励 賞、大原美術館賞を受賞。2022年、赤々舎より写真集「眠る木」を出版。主な個展に「The Others」キヤノンオープンギャラリ ー1(東京、2019年)、「The Others」INTERFACE–Shomei Tomatsu Lab. (沖縄、2019年)、「緑の部屋」MISA SHIN GALLERY(東京、 2024年)、「緑の部屋:平和の島」Gallery Atos(沖縄 2025年)。主なグループ展に「Paradise Okinawa」MISA SHIN GALLERY(東 京、2022年)、「VOCA展2024 現代美術の展望ー新しい平面の作家たちー」上野の森美術館(東京、2024年)、「開館30周年記念 展 日常のコレオ」東京都現代美術館(東京、2025)がある。また、2026年1月24日(土)から、横浜市民ギャラリーあざみ野にて 公的な美術機関での初の個展「たとえすべての瓦礫が跡形もなくきれいに片付けられたとしても」が開催される。

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2026-01-14|
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